「べき」で人生つまらなくしていた私。

私の母はいわゆる“良妻賢母”で、

家庭のことはなんでもきっちりこなす人。

“専業主婦だから、お母さんは家のことをきちんしないと”、

というのを何度も聞いたことがあります。

父も兄も同様に生真面目な人でした。

それはそれで美徳だと思っています。

でもそういう家庭で育ったせいか、

私の中でもいろんなことに対して

“こうするべき”“こうするべきでない”“こうするのが当たり前”…

というような概念がかなりしっかりあったように思います。

たとえば、大学生の時に

本当はとっても留学したかったんですが、

私立の4年制大学に通わせてもらったのだから、

留学なんて贅沢はすべきじゃない、

新卒でいわゆる“いい会社”に入るべきだと考えて就職しました。

そして結婚したら、

仕事をしていても夕飯は、お弁当やできあいのものでなく、

きちんと食事をつくるべき、というのがいつも頭にあり、

そうでないと家庭との両立できていないような気になっていました。

また、制作の仕事では絶対に納得いくまで

良いものを作ら “ねばならない”、妥協しないのがプロ、

といった感じでいつも構えてしまっていたように思います。

一方では、幸せな家庭にするためには子供を持つべき、

とも考えていましたし、

お正月やお盆には夫の実家に行かねばと、旅行などはあきらめていました。

旅行が大大大好きなのに！です。

そんなふうに、私はおおざっぱな性格なくせに、

“べき”“ねばならない”だけは人一倍持っていたと思います。

自分では完璧なんてほど遠いと思っていたけど、

これもひとつの完璧主義のようです。

あげく、ストレスをためまくって、

仕事も子供もあきらめるハメになるのですが……。

そして50代も半ばに差しかかったころ、引き寄せの法則を学んで、

自分がこだわっていたことが人生をつまらなくしていたと

思い至るようになりました。

まず引き寄せの基本として、

“いい気分でいること”が大前提なのに、

人の顔色や世間の常識に合わせてストレスをためていては

せっかくがんばっても良い引き寄せは起きません。

親のため、夫のため、と思ってしていたことも、

相手にとってはそれほど重要でないことも多かったです。

仕事に関してもプロ意識を持つことは大切ですが、

もっと軽い波動で取り組んだ方が楽しいし

体を壊して辞めることもなかったかもしれません。

そもそも“べき”や“常識”は、人や時代や場所によって

いとも簡単に変わります。

たとえば私が「お正月には海外旅行に行くから夫の実家には帰れません」と

言っても誰も気を悪くなんてしなかったんじゃないかと今では思います。

そして常識はどんどん変わっていきます。

すごく有能な女の人も昭和初期は

女は家庭に入るべき、というそれだけで専業主婦をしていました。

どれだけの可能性が失われたことか…

でもそれを破って外に出た女性が、

のちに「女性も働いてあたりまえ」をつくっていきます。

2020年に土の時代から風の時代に変わったと言われ、

もっともっと早いスピードで、自由に軽やかに生きていい時代に

移り変わっています。

私は去年、結婚していながら、夫とは別の好きな場所に

住むことを決断して一人で引越しをしました。

転勤でも介護でもないのに別居するなんて無理、

と思っていた私には勇気がいることでしたが、

自分の気持ちを正直に言うことでまず夫が理解してくれ、

私たち夫婦がいいなら、と周りも理解してくれました。

そして誰との関係も壊れることはありませんでした。

今では私がここでしようとしていることを応援してくれています。

私は自分の好きな生活をはじめたことで、

新しい仕事をはじめたり、新しい仲間ができたりと

新しい扉が開いた感じがしています。

もっと早くこういう生き方をすればよかったと、心から思います。

他人からはわがままとか自分勝手と思われてもいいんです。

他人は自分の人生に責任を取ってくれませんから。

自由な生き方もこれからはきっとスタンダードになるでしょう。

私は今50代後半ですが、これからお金をためて

いつになるかわからないけど留学もしようと考えています。

これを読んでくださっている方が、

自分で自分をしばっていることがあるなら、

それは本当に必要なことか、手放すことができないか、少し考えてみてほしい。

きれいごとではなく、案外手放せることはあるものです。

誰かに相談することからはじめてもいいと思います。

“べき”を手放したところには、怖いこともあるかもしれないけど

新しいなにかがあると思うのです。